食品添加物の表示について
消費者のために隠されてしまう食品添加物
食品添加物は、原則として、使用した食品添加物名を容器包装の見やすい場所に重量の割合の多い順に記載されることになっています。消費者が必要なことをできるだけ分かりやすいように表示方法に工夫がされているとようなのですが、これには大きな落とし穴があります。
使用された食品添加物は、簡略名または種類別で表示されている場合があります。
消費者が分かりやすいようにされた工夫の1つのようですが、「ビタミンC」や「野菜色素」といった我々に身近な名称を用いることで、化学物質という印象が薄れてしまう恐れがあります。
また、同じ目的で使用する場合には「香料」「乳化剤」のように一括表示してもよいとされています。一見、単体の物質のような印象を与える表記ですが、実は添加物の集合体を意味しており、消費者に誤解を与えやすいものです。
消費者に分かりやすい表示が、食品を選ぶ際の判断材料として良い効果をうむとは言い切れないと思います。
終わり良ければすべて良し?
必ずしも使用した食品添加物が表示されているわけではありません。
例えば食品を加工する間で使用された食品添加物が、最終的にはなくなったとされたりわずかな量しか食品に残らないとされたりする場合には、表示をしなくても良いとされています。
例えば、保存料の安息香酸を含んだ醤油で味付けされていても、出来上がった煎餅の含有量が少なかった場合、添加物として明記されません。安息香酸は、食品添加物の中でも危険な物質の1つで、「変異原性」「発がん性」が認められています。
警戒する方が多いであろう物質が使用されているにも関わらず、「残っていないからいいよね」という判断で表示されていないために我々消費者は、その存在すらも知らずに食べていることになります。
摂取する段階では残っていないからと言って、あなたは安心して食べることができますか。
曖昧すぎる表示義務
店頭でバラ売りされている食品については、食品衛生法上の表示義務はありません。
例えば1つの大きな箱に並べられて客がトングで欲しい数だけ袋に入れる方式の魚や、大袋から出され「詰め放題」としてまとめられている飴やチョコなどのお菓子が該当します。
スーパーなどで氷に浸かった魚をビニール袋に入れて購入する方法は、一見新鮮そうなイメージがありますよね。ですが、市場に出るまでにどのような加工がされてきたかは知りようがないわけです。また、「詰め放題」というお得感と引き換えに、危険物質を自ら選んでしまっているかもしれないのです。
国の言い訳に利用されている消費者
加工食品に含まれている添加物を全て表示しようとしたら、ほとんどの食品が小さなラベルではおさまりきらないでしょう。我々消費者が分かりやすいようにされている簡略化や免除といった工夫も、もしかしたら、国や製造者側がやりやすいように「主要なものだけを書いてごまかそう」とした結果かもしれません。安全な食品を選ぶには、このような実態をふまえて、改めて表示ラベルと向き合うことが大切です。